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第五章・21

 シャワーを浴びて、浴槽に浸かる間。  身体を拭いて、髪を乾かす間。  ずっとずっと、陽は衛の事を考えていた。 『いい加減にしろ!』  朝、怒った衛の声が、姿が浮かぶ。  衛がいけないんだ。  いつも、御小言ばっかり。 『弟が世話になってすみませんね』  晩、笑った衛の声が、姿が浮かぶ。  衛がいけないんだ。  いつも、逃げてばっかり。  そう。  悪いのは全部、衛。  怒るのは、逃げたくなるのは、僕の方なんだから!

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