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第五章・22

「でも……」  なんだか衛は、悲しそうだった。  優しい言葉の裏に、その声の陰に、何かを隠してるみたいだった。  晴れない気持ちのまま、寝室へ入った。  室内に、抑えたダウンライトが灯っている。  陽が真っ暗な中で困らないように、先に寝る時は必ず衛はそうしてくれる。 「衛」  返事は、ない。 「衛、起きてる?」  寝返りも、ない。 「寝ちゃったのか。そっか」

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