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第六章・4

『一応、食事の用意はしておいたが。どうする』  あんな風に、さらりと言っちゃうなんて。  御馳走あるから食べようって、言わないなんて。 『お風呂に入って寝る。疲れちゃった』  変な意地なんか、張らなきゃよかった。  食べる食べるって、素直になればよかった。 「衛……」  テーブルの上に置いた手の甲に、大粒の涙がぽろりと零れ落ちた。

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