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第六章・6
本日は業後に職員会議が入っており、遅くなることは目に見えていた。
毎週定例のことなので陽も承知していると思い、特に連絡もしなかった。
それに。
朝、あんな事を言ったんだ。
今頃は羽を伸ばして、あの男のところにでも行ってしまったかもしれない。
衛は、帰っても明かりの灯っていない我が家を想像した。
そうやって、心の準備を始めていた。
ただ淡々と、時間は過ぎていく。
だが不意に、その流れを断ち切る出来事が起きた。
会議は予定時刻の20時には片付きそうだ、と職員室の誰もが思い始めたその矢先、在校生の家族から電話がかかってきたのだ。
受話器をとった教頭の声や顔つきが、次第に険しくなってゆく。
これは何かあったな、とその場の全員が覚悟を決めたが、まさか最悪の知らせだったとは。
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