126 / 152

第六章・6

 本日は業後に職員会議が入っており、遅くなることは目に見えていた。  毎週定例のことなので陽も承知していると思い、特に連絡もしなかった。  それに。  朝、あんな事を言ったんだ。  今頃は羽を伸ばして、あの男のところにでも行ってしまったかもしれない。  衛は、帰っても明かりの灯っていない我が家を想像した。  そうやって、心の準備を始めていた。    ただ淡々と、時間は過ぎていく。  だが不意に、その流れを断ち切る出来事が起きた。  会議は予定時刻の20時には片付きそうだ、と職員室の誰もが思い始めたその矢先、在校生の家族から電話がかかってきたのだ。  受話器をとった教頭の声や顔つきが、次第に険しくなってゆく。  これは何かあったな、とその場の全員が覚悟を決めたが、まさか最悪の知らせだったとは。

ともだちにシェアしよう!