131 / 152
第六章・11
大山鳴動して鼠一匹。
いや、これで済んだからそんな事が言えるのだ。
そう、衛は考えた。
無力な未成年を襲う事件は、後を絶たない。
これからは、今以上に大人がしっかりしなくてはならないのだ。
(そういえば、あいつがまだ高校生だった頃も、こうやって夜中まで駆けずり回ったっけなぁ)
ほんの数年前、夜遊び陽を補導していた事が、ひどく懐かしく感じられる。
疲れた。
しかしもう疲れて帰っても、俺を待つあの可愛い猫はいないのだ。
そう思うと、足取りがやたら重くなった。
ともだちにシェアしよう!