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第六章・12

 自動車を運転していたが、ひどくぼんやりとして前を走る車に付いていくだけだ。  信号も標識も、見た記憶がない。  気がつくと、近所までたどり着いていた。  緩やかな坂道を低速で昇り、あのカーブを曲がったところが俺の家。  だがそこに灯る暖かな明かりに、衛の疲れは瞬く間に消えていった。

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