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第七章・2
「バカ! マモルの馬鹿! 遅くなるなら連絡くらいしなよ!」
自分の事は棚に上げて、全く身勝手な猫らしいな。
だけど、お前のそういう所も好きだ。
そんな甘い言葉で、長い腕で大きな胸に抱かれ、陽は真っ赤になった。
「ごッ、ごはんあるけど、食べるよね!? 僕が、せっかく作ってやったんだからね!」
ほう、それはそれはとキッチンへ入ると、テーブルには堂々とカップラーメンが置いてあった。
「……お前が作ったんじゃなかったのか?」
「ネギ! ネギ、いっぱい刻んだんだから! ネギいっぱい入れて、本格ネギラーメンになるんだから!」
確かに以前、ネギの刻み方だけは教えた、と衛は苦笑いした。
しかも、長さがばらばらだ。
ずらりと繋がっているネギもある。
それでも、一生懸命やってくれたのだろう。
陽の愛情ネギラーメンを、衛はありがたくいただいた。
「うまい」
「当然だろっ」
もつれた糸が、わずかながら解けた心地がした。
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