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第七章・18
「?」
半身を起こして探ってみると、柔らかい不織布で包まれているようだ。
陽は思いきって起き出すと、カーテンを開けた。
まだ朝の名残ある光の中に現れたのは、大きな大きなリボンのかかった包みだった。
「何これ! まさか、衛が!?」
見ると、リボンの結び目あたりに紙がはさんである。
ちゃんとしたグリーティングカードではなく、コピーに失敗した裏紙というところが全く彼らしい。
『いろいろとすまなかったな。プレゼントだ。これからもよろしく頼む』
ぷッ、と陽は吹き出した。色気のないことはなはだしい。
「大人ぶってるクセに、全然ロマンがないんだから」
ぶつくさ言いながらも、嬉しく包みを開いた。
「ぬいぐるみ? 魚の?」
出てきたものは、やたらと大きな魚だった。
ただそれは、当たり前だが本物のびちびちした魚ではなく、もふもふした綿が詰まった布製の魚だ。
ただその肌触りがやたらと素敵で、陽は顔をうずめて抱きしめた。
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