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第2話

また目が覚めると、今度はあんまり長い時間は寝てなかったみたいで日が傾いている。 時計を見るとまだ夕方だった。 外にでも探検に行けば良かったかなとも思ったが、何だか身体がダルくて動く気にもならない。 「ふぁぁ。沢山寝たはずなのになぁ」 大きなあくびをしてとりあえずお皿だけでも流しに出しておかないとと思って立ち上がるが朝の様にお尻に違和感がある。 変な体勢ででも寝ていたかなと考えたが、時計を見ると5時だった。 僕は慌ててお皿を流しに出すと自分の部屋さに戻って急いで着替える。 お母さんに僕がずっとパジャマでゴロゴロしていて着替えていないと分かると怒られると思ったからだ。 自分の部屋に入ってベットの上に着ていたパジャマを放り投げて急いで洋服を着る。 「んー?やっぱりお尻変な感じするし、お腹も痛い気がするなぁ」 着替え終わってふぅと大きな溜め息が出た。 やはりお尻に違和感があるし、どことなくお腹も痛い気がする。 とりあえずまたトイレに行ってみるが特に何も出なかった。 僕は首をひねりつつゲーム機を部屋に持って入る為にリビングに戻る。 リビングに戻るとヒューっと風が頬に当たり、気が付かなかったがお母さんが窓を開けていったみたいでカーテンがふわふわと揺れていた。 不思議だなぁと思いつつ窓を閉める。 「ただいまー!!」 隠蔽工作が終わってぼんやりテレビをみていると、お母さんの声が玄関から聞こえてきた。 ガサガサとビニール袋が立てる音が僕の居るリビングまで近付いてくる。 お母さんが机の上に袋を乗せるとドスンという音がした。 それからお母さんがご飯の用意をするのをぼんやり眺めていると、玄関から足音が聞こえる。 「ただいまー。ふぅ。」 今度はお父さんが帰ってきて手にはトイレットペーパーやティッシュペーパーが握られていた。 引っ越してきたばかりで消耗品が何もないと言っていたからだろうか。 やはりドスンという音を立てて荷物が床に置かれた。 僕はそれをソファーからぼんやり眺めている。 「ん?みのりどうした?ぼんやりしてるけど具合でも悪いのか?」 「んーん。大丈夫だよ」 お父さんがぼんやりしていた僕に声をかけてくれたけど、お腹が痛い事は何となく言わない方がいい気がして嘘をついた。 それに時間が経つとお尻の違和感もお腹が痛い気がしていたのも嘘のように気にならなくなっていた。 「ごちそうさまでした!」 「いっぱい食べてくれてうれしいわ」 今日はずっと寝てばかり居たのでお腹がすいていないので食べられないと思ったが、一口食べてみたらいつもより沢山ご飯を食べていた。 お母さんが嬉しそうにニコニコと笑っているし、お父さんも笑っていてそれが嬉しくなる。 二人と他愛ない話をしてお風呂に入ったら寝るだけになった。 お父さんに一緒に入るかと言われたが、僕はもう一人でお風呂も入れるのでいらないと言っておく。 「あれ?虫刺されかな?」 お風呂場の大きな鏡に映る自分の姿に違和感を感じる。 昨日まで無かったのにおへその横に赤い痕があった。 特に痒くも無いので虫刺されじゃないかもしれないが、一応お父さんに診てもらおうと思いながら髪を洗う。 「ねぇ?これ虫刺されかな?」 「ん?どれどれ?」 お風呂上がりに髪を拭きながらお父さんにお腹を見せる。 お父さんはおへその横の赤くなっている部分を押さえてみて首を傾げた。 「みのりこれ何処かでぶつけたのか?」 「えー?」 「これは虫刺されじゃなくて内出血だな」 「んーと。そう言えば机の端にお腹当たったかも…」 「新しい家に喜んで走ってたもんな。気を付けような」 「だからお母さん気を付けるように言ったでしょ?」 「はぁい」 お父さんがお腹を撫でてくれた後、頭も撫でてくれる。 お腹が痛かった原因ももしかしたらお父さんが言うようにお腹が机に当たったからだったのかもしれないなぁなんて思いながら髪をお母さんに拭いてもらった。 そろそろ寝るように言われて僕は部屋に帰る。 「あ、そう言えばくまさんの事言い忘れてたな」 部屋に入ってすぐに机の上に居るくまのぬいぐるみが目に入った。 今日は散々寝た筈なのに大きな欠伸が出る。 僕はベッドへ横になると、すぐに目蓋が重くなってきて眠りについた。 その夜、僕は不思議な夢をみた。 知らないおじさんに追いかけられる夢で、僕は必死にそのおじさんから逃げている。 後少しで捕まるというところで目が覚めた。 寝起きなのに、夢のせいか心臓がバクバクとしている。 僕はその日から同じ夢を何度もみるようになった。 知らないおじさんに追いかけられる夢を見て、心臓がバクバクしながら飛び起きる。 そして必ずその夢を見た日にはお尻に違和感があった。 「なにこれ?」 新しい家に引っ越してきて1ヵ月位の時に、お腹が痛くてトイレに行った。 便器の中を覗くと白い液体が水に浮いている。 その時は不思議に思ったけれど、トイレでお腹がスッキリしたらその事はすぐに忘れてしまった。 「おはよう」 「あ、おじさんおはよう!いってきます!」 「はーい。いってらっしゃい」 管理人のおじさんに声をかけられて、僕は手を振った。 管理人さんは毎日ごみ捨て場や、マンションの周り等を掃除しているので他の住人なんかにも声をかけている。 最初は変なおじさんだなって思っていたけれど、毎日お掃除してたり皆に挨拶したりして凄いなって思うようになった。 僕が帰ってくる時間には“管理人室”ってところに座っていておかえりっていってくれる。 お父さんもお母さんも困ったら管理人さんに何でも言うんだよって言ってたから、僕も困った事があったら管理人のおじさんに言うようにしていた。 「ねぇねぇおじさん聞いて?」 「どうしたんだい?」 「あのね。僕この前、白いうんちが出たんだよ!」 「そうなの?」 「うん!おなかいたいなぁって思って、トイレに行ったらうんちが白かったんだよ」 「へぇ。それはお父さんかお母さんに言ったの?」 「んーん。今思い出したから言ったの」 「そうか…。みのりくん位の子にはたまにある事だから心配いらないけどお父さんやお母さんには言わない方がいいかもね。大人になった証拠なんだよ」 「へー。わかった!」 僕が学校から帰ってきたらおじさんがいつもの場所に座っていた。 管理人室はマンションを入ってすぐにあって、小窓からおじさんが座っているのが見える。 帰ってきたり、出掛けたりする人を見ているのが仕事なんだと言っていた。 そして何より、おじさんは僕にこっそりお菓子をくれるのだ。 僕が帰ってきたら、おじさんはおかえりって言って少しお話をする。 今日学校で何があったか、宿題の話なんかもしたりして面白かったことなんかもお父さんやお母さんに話すみたいにお話をする。 大人のおじさんはそうなんだって何でも聞いてくれるし、嫌なことがあったら内緒だよって飴やチョコをくれたりするのだ。 お菓子は持って帰らずおじさんの前で食べて、ゴミはおじさんへ渡す。 本当はお菓子とかをあげちゃいけないんだって言ってたからおじさんの目の前で食べる事にしている。 飴とかチョコを食べ終わったらおじさんにバイバイと言って自分の家に帰る。 今日も飴を貰ったのでそれを食べている間おじさんと話していた。 おじさんにバイバイと手を振ってエレベーターを待っている時に管理人室から大きな咳が聞こえたが、丁度エレベーターが来たのでそのまま部屋に帰る。 「ふぁぁ…」 手を洗って自分の部屋に鞄を置いてから、リビングに行くとテレビの前のローテーブルの上におやつがおいてあった。 僕はそれを食べながら宿題をする。 最近帰ってきたら眠くなってしまってすぐに宿題をしないと夜寝る時間が遅くなっちゃうのですぐにする様になった。 漢字の書き取りの最中眠くて眠くてノートの文字がどんどん歪んでいく。 目を擦ったりして何とか頑張ったけれど眠気には勝てなくて、鉛筆を放り出してソファーに横になる。 「ただいまー」 玄関からの足音と声で僕は目を覚ました。 宿題の途中だったからテーブルの上には宿題が広げたままになっている。 寝ていたからか、口がなんだかねばねばとしている気がしてジュースが入っているコップを取り上げて喉を潤す。 ジュースのコップを置いたところでお母さんがリビングへ入ってきた。 「おかえり!」 「みのりただいま。宿題してたの?」 「う、うん」 「折角一人部屋になったのに、みのりは本当にソファーが気に入ったのね」 ぱちりとお母さんと目が合ったので声をかけると、お母さんがテーブルの上の宿題に気がついた。 途中になっていたのが気まずかったが、空いたグラスで休憩中だとでも思ったのだろう。 僕は学校から帰ってくると、前の家の癖なのかリビングで宿題をしていた。 しかも、新居には前の家には無かった大きなソファーが置かれているのでそこの上でゴロゴロするのがルーティーンとなっているのを知っているのでお母さんは少しあきれ気味にダイニングテーブルに鞄を置いている。 「あ、そう言えばお母さん!」 「ん?なぁに?」 「あっ!何でもない!今日の夜ご飯なぁに?」 宿題の続きをしようとソファーから降りて、鉛筆を持ったところでおじさんに話した事を思い出した。 お母さんを呼んでから、おじさんに大人になった証拠だから話しちゃいけないと言われたのを思い出す。 僕はすぐに声をかけた事を誤魔化して夕飯のメニューを聞いた。 今日はお父さんの好きな豚のしょうが焼きらしい。 僕はお母さんの鼻歌と料理を作る音を聞きながら残りの宿題をしはじめる。

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