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始まりの予感─6─

「黒澤、ちょっとこっち来て」  真嶋が笑みを浮かべて手招きをする。仕方なくついていくと何故か図書室の一番端の棚に連れて行かれた。 「なんだよ、こんなところで」 「ここならLIMEの交換してても誰にも見つからないでしょ」  真嶋がポケットからスマートフォンを取り出す。そして僕にもスマートフォンを出すように促した。仕方なく鞄から取り出すと、真嶋はまずアプリをダウンロードしてアカウントというものを作成するところから教え始めた。 「IDはどうやって決めたらいいんだ」 「自分の名前でも、誕生日の数字でも、何でもいいんじゃね」  そんな会話のやり取りを繰り返しながら、アカウントを作成させていく。アイコンの写真はどうする、と訊かれたので、アイコンに出来るような写真がないと言うと真嶋は目を丸くした。 「黒澤って普段写真撮らないの?」 「撮る機会がないからな。あ、でも一枚だけあるかもしれない」

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