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Ⅰ 初恋のつづき③

現実は想像を凌駕する。 「晴……くん?」 「はい」 「ほんとうに」 「はい。正真正銘、本物の晴です」 大学生と言われても不思議はない大人びた風貌の青年が、目の前にいる。 「身長いくつ?」 数年振りの再会で、イの一番の質問がそれか! ……と思いつつも。聞かずにはいられない。 俺だって小さくはないのに。 「186です」 通りで見下ろされてしまう訳だ。 「伸び盛りなので、もう少し高くなってるかも」 「そうなんだ」 ちょっと羨ましいぞ。 ……別に俺、小さくないからいいんだけど。 「………」 「………」 「………」 晴君が、こんなにカッコ良く成長しているとは。 モデル並みのルックスじゃないか! 「………」 「………」 「………」 (どうしよう) なにを話せばいいんだ。 俺の知ってる晴君は小3で止まっている。 こんなに逞しく成長するなんて。 見下ろす眼差しが揺れた。 (睫毛、長いな……) 「モテるだろ」 俺っ、なにを★ 「………」 「………」 「………」 なにを聞いてるんだっ いかん。おかしな空気になった。 「えっと、そこのカフェでオレンジジュースでも」 ……って。 なに言ってるんだ! カフェオレだろ。 (カフェオレ) モデルはカフェオレだ! 「モデルはしてませんよ」 「えっ」 「高校、バイト禁止なので」 「そう、なんだ……」 もしかして、俺。心に思ってた事、口に出してた? 恥ずかしすぎるーっ 「それなりにモテます」 「あ、いや。ごめん。軽率な質問を。気を悪くしたよな」 「いえ」 ………………ふぇ。 (あたたかい) 陽の落ちて、ドロップ色の宵闇が押し寄せる空。 髪を梳いて吹き抜けた風が冷たくない。 「そう思うのは少なからず、俺を意識してくれてるって事でしょ」 この腕! この胸! トクトク聞こえる心音が鼓膜に響く。 俺の耳がぴったりと…… 「嬉しいです」 胸板にくっついている。 晴君の! 淡いベージュのスプリングコートの中にすっぽりと、俺の体が包まれている。 「約束しましたから。尋斗さん」

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