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Ⅰ 初恋のつづき⑤

……あぁ、そうだったね。 君が今よりずっと小さかった頃。 『パパ、どこぉ~』 ウワァアアァァァーン!! 泣いてしまった君の頭を撫でて。 「パパが帰ってくるまで一緒にいるよ」 『ひろと…にぃたん?』 「俺がずっと一緒にいてあげる」 泣いてクシャクシャな君の頬を包んで。 「元気になるおまじない」 ちゅっ おでこにそっと……キスをした。 「大好きだよ、ハルくん」 『おれも!ひろとにぃたん、だいすき!』 小さな手が、ぎゅっと俺の手を握って。 大きな手で、ぎゅっと包んだ。 小さな手の温もり…… ……そうだ。 あの時、約束したんだ。 大好きな人同士は結婚するから。 結婚して、一緒にいようね。 確か、そんな話をしたんだ。 『大きくなったら、結婚しよう』 約束、思い出した。 あの時、小さかった手が俺の左手を握ってる。 左手が、俺の顎を持ち上げている。 俺、キスされている。 君は大好き。 「晴君!」 大好きな親友の、大好きな息子なんだ。 だから俺は、君を突き飛ばした…… 「……そんなんで、俺がひるむと思った?」 ……突き飛ばした筈なのに。 「昔の小さな俺じゃないんです」 月光色の瞳が見下ろしている。 間近で。 俺の体が囚われている。 熱い鼓動が耳を打つ。 逞しい腕が強く、もっと強く、俺を引き寄せた。 「逃げないで……って言ったけど、尋斗さん」 吐息が触れた。 再び。 「あなたを逃がしません」 重なった唇が、甘く切なく唇を撫でた。 「俺で発情してください」 「なに言って……俺はαだ」 「αのあなたは、おしまいです」

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