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Ⅱ 夜を焦がす星の檻⑪
君の後ろに見えたシャンデリアの火が、瞳孔を射った。
ギラギラと。
鼓動は燃える火の音に似ている。
俺を焦がす。
君は熱い。
ギラギラと……
君は、夜を焦がす恒星だ。
俺は君に焼かれていく。
闇を焦がす君が俺を焼く。
伸ばした手に髪が触れて、ぎゅっと温もりに包まれた。
逃がさない……と言った君は、ほんとうだった。
「あなたに薬を飲ませました」
あぁ、やっぱり……
そう思っていた。
だが、敢えて問いかけよう。
「なぜ、そんな事を」
「キスで薬を飲ませて眠らせて、ここへ連れ込むためです」
急激な眠気は、やはり君のせいだったか。
「どうして話したんだ?」
言わなければ分からなかったかも知れない。
気づかれなかったかも知れない。
俺も、聞く気はなかった。
犯罪だと糾弾される危険を犯してまでも、なぜ君は話した。
「あなたを抱きたいから」
シャンデリアの火が揺れる。
「そうだな。ラブホはそういうコトをする所だ」
恒星の熱に身を焼かれる。
君は、太陽の光を反射して輝く月なんて生易しいものじゃない。
闇を燃やす星だ。
……なんにもなかった俺の闇を、容赦なく燃やしてくる。
君の瞳の色は、こんなにも優しいのに……
逃がしてくれないんだね。
「あなたを俺のものにします」
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