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Ⅱ 夜を焦がす星の檻⑱
心臓がカラカラと鳴っている。
血液を押し出す度に、心臓の中にある空隙が不規則な心音を響かせる。
カラカラ、カランラン!
血が熱い。意識が火照る。
胸が痛くて苦しい。
「尋斗さん」
口づけて唾液を絡めとられて、胸の痛みが少しだけ楽になった。
「はる……くん」
離れようとした晴君の頬を包んで、俺からせがむ。
君の舌が口内に侵入して、このまま理性まで奪われたら……
奪われたい……
そうしたら君を。
「アフ」
「また考え事ですか」
酸素ごと奪って唇が強引に食いつく。
クラクラする。
俺はいつまで意識を繋ぎ止めていられるのだろう。
「父の事をまだ」
「三樹は関係ない」
「いいですよ。あなたは父を好きなままで」
「君こそ、まだ」
三樹の事を気にしているのは晴君、君自身だ。
「いいんです。あなたは父を好きなままでいてください」
後頭部を撫でた手が俺を引き寄せた。
俺を離さない。
「父を好きな気持ちごと、あなたを俺のものにします」
額と額が、こつん……
「だから……」
ドキン、ドキン、ドクン
「あなたのここにある気持ちは、全部俺のものです」
左胸の鼓動を掌が包んだ。
もうどこにも選択肢のない俺は、きっと幸せだ……
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