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なれそめ

 1年経ってもラブラブなのがわかる文面を見た俺は口角を上げる。 ‘‘大丈夫、21時までかからないから’’ 俺は既読にならないうちに画面を暗くしてスマホをカバンに戻した。 「そろそろさぁ、ナオちゃんをオレに紹介してくれてもいいんじゃない?」 いきなりいじけた子どものような声で肩を叩いてくる伊月先輩。 「絶対イヤっす」 「なんでぇ? オレとユタの仲じゃん!」 あさりの大きさの瞳と左側1本の色が黒い上の前歯を見せて笑う伊月先輩を見て、俺は仏のように微笑んだ。 「カッコいい伊月先輩に取られたくないっすもん」 それを聞いた伊月先輩はハッとした後、みるみる顔が赤くなる。 「さっさと終わらすぞ……全部」 赤い顔のまま、パソコンの画面を見ながらさっきより速くタイピングする姿に俺は、はいと明るく返事をして、より早くタイピングを始めた。    「……せめて、出会いだけ聞かせて」 伊月先輩なりに譲歩したように言うから、俺はいいですよと返事をしたんだ。 「昔、花火大会に一緒に行ったんです……おじさんに連れられて」 おじさんという表現は合っているようでもあるし、間違っているとも言えるんだけど。 「それから会ってなかったんですけど、いきなりの空腹で倒れたら助けてくれた人がナオちゃんだったんですよ」 『大丈夫?』 ゆらゆらと揺れる瞳に映ったのが、情けないくらいへの字に眉を下げた顔だったのを今でも鮮明に覚えている。 「そして、心配して様子を見に来たナオちゃんを愛しさ余って抱いちゃったんです」 正確にはディープキスしただけなんだけど。 「ごちそうさん」 まだまだあるのに、あまりのラブラブさにお腹いっぱいになった伊月先輩はため息を吐いた。 まぁ、それからが大変だったというのは喉の奥へと飲み込んだんだ。 ナオちゃんは別れたばっかだったし。 父親は厳しい人だったし。 そして、俺たちは知らないうちに繋がっていたからね。

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