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#1-7
手を抜くな、の言いつけ通り。
善の行為の密度は濃かった。
俺が焦らされるのが好きなのを重々承知している善は、いつも愛撫ひとつにねちっこいくらい時間をかけるが、今日は違っていた。何の情緒もなく突っ込まれた指で、弱いところを容赦なく擦られ。さっさと挿入される頃には、俺はかなり、切羽詰まっていた。
「う、……っぜん、くるし……」
「あたりまえじゃん、苦しいようにしてるんだから」
服と下着が纏わりついたままの両脚を抱え上げられ、尻が浮いた体勢で中を抉られる。内臓が押し潰されそうなほど強く穿たれるのが、怖いのに気持ちいい。爪先が痺れてくる。
「んんっ……ぐ、っあ……っ」
「は……、ナカ、すっごいよ。きゅんきゅんしてる。ド変態の千亜貴は、痛くて苦しいと濡れちゃうんだもんねぇ? 首でも絞めてあげようか」
言いながら善は、ローションまみれになって善を受け入れているところの淵を、長い指でぐるりと辿った。鈍い電流が背を走る。浅く喘ぎながら俺は首を横に振った。
「や、やだ……っ」
「絞められたことない?」
「んぁ、あっ、ある、けど……」
「ヨくなかった?」
こくこく頷くと、善が短く笑う気配がした。
言葉を交わしながらも善は動きを止めず、突かれるたびにぐちゃぐちゃと酷い音がしている。聞くに堪えないそれが確実に俺の興奮を煽る。抑えきれない声が漏れてしまう。
「それ、相手がヘタクソだったんじゃない? 結構いるんだよね、見様見真似でノド潰してくる奴。ちゃんとうまく絞めたらね、頭ふわふわってしてくんの。千亜貴、イきまくっちゃうんじゃないかなぁ」
金色の艶めいた髪が目元にかかって揺れていて、その隙間から覗く青い瞳が、酷薄げに細められる。
「ね、千亜貴。されてみたくない?」
そう言って善は俺の首、隆起の低い喉仏の横のあたりに触れた。戯れにもならない、ほんの撫でる程度のそれに反応して、内襞が善を強く締めつけてしまう。
「……ッあ、……」
俺の身体が期待に震えたのは明らかだった。
しかし善はそれを揶揄うでもなく、ひやりとした手も、それ以上そこを圧迫してくることはなく。
代わりに犬猫にする手つきで俺の顎の下を擽ってから、勿体ぶるように離れていった。
「……ふふ。今度、ゆっくりしてあげるね」
「んっ、あ! ぅあっ……」
油断した隙に両膝を大きく割り開かれ、何の防御もできない中心に深く突き入れられる。そのまま抜かずに腰を揺すられると、嵌まりこんだ奥がぐりぐりこじ開けられるようで、苦痛と紙一重の愉悦が渦巻いていく。
「あっ、や、それ……っだめ、やだっ」
「嘘つくなよ。好きでしょ」
「ひ、ぁ、あ……っ」
勝手に逃げを打つ腰に、善の指が食い込む。そこからじわじわと溶けていくような感覚があった。
押さえつけられるほど、無理矢理みたいにされるほど気持ちいい。俺の性癖をわかっているから善はわざとそうする。荒っぽくシーツに押しつけ、優しさの欠片もなく揺さぶる。
乳首を抓られて身体が跳ねた。潰れるんじゃないかと怖くなるくらいきつく摘まれたあとで、慰めるように指の腹で優しく転がされると、もうそれだけでイってしまいそうで、身を捩って悶える。
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