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#2-6
仰向けに寝そべって膝を立て、少量のローションをとった右手を両足の間に差し入れる。
窄まりに塗りつけるように指先を動かすと、入り口はすぐに開いてしまう。
誘い込むように蠢くそこに中指を突き立てた。押し込むまでもなくずるずると指の根元まで簡単に飲み込まれる。
「……ん」
イイところを触りたい欲求もあるが、指では得られない圧迫感も早く欲しくて、慣らすほうに専念することにした。吸いついてくる内襞をぐるりと擦りながら指を抜く。
薬指にもローションを纏わせて、二本まとめて挿入すると、拓かれる快感がぞわぞわと腰に走った。中で二本の指を開くと、くぱ、と小さく水音が鳴る。
中を押し広げるようにしながらゆっくり抜き差しを繰り返す。前立腺を何度も掠めるうち、前も勃ってきた。左手で軽く扱くとすぐに先端が濡れてくる。
気持ちよくて、落ち着く。というのはおかしな感覚なんだろうか。
でも俺が欲しいのは、そういうぬるま湯みたいな快楽ではないのだ。
指を抜いて、ゴム装着済みのバイブにローションを塗りたくる。デカいから結構しっかり濡らさないと入らない。
仰向けのまま足を大きく開くとかなり間抜けな格好になるが、そんなことはどうでもよかった。
右手で掴んだ無機物の塊を後孔へあてがう。ぬちゅ、と先端が当たるだけで、期待感に目眩がしそうになる。
大きく息を吐きながら挿入していく。硬くてひんやりした異物の、亀頭を模した太い先端がめり込んでくる感覚。呼吸に合わせて少しずつ押し進める。
一番太いところを飲み込むと、軽い快感の波がやってきて、入り口のあたりがじくじくと熱をもったように感じた。
「ふー……」
一度手を止めて、深く息を吐く。ぼやけた視界には見慣れた天井だけが広がっている。
現実と夢の狭間にいるようなふわふわした意識の中で、バイブをさらに奥まで入れていくと、やはり安堵に似た感覚が湧きあがった。生物としてあまりに無防備な格好で、異物を受け入れている息苦しさも感じているのに。
「はあ……、ん、ん……っ」
最奥までは進めずに、先端の段差が前立腺にあたるところで侵入を止めた。バイブを握ってしこりを転がすように擦りつけると、背筋をびりびりと愉悦が駆けあがっていく。
酒が入ると感覚が鈍るというが、中の感度は上がるような気がする。それとも回路が馬鹿になっているだけだろうか。
「ん……っふ、ぅ」
そうやって前立腺をぐりぐり弄っているだけでもじゅうぶん気持ちいいのに、太い異物でいっぱいに開かされている襞が、もっと強い愛撫を欲しがってひくついている。
震える手がコードの先に繋がっているリモコンを掴んだ。スイッチを入れた途端、身体が跳ねるほどの衝撃に、高い嬌声が漏れる。
「ぁあっ、あ! あ……ッあ、やば、ッ」
無感動なピストンを始めた機械が、内襞を嬲るように擦りあげながら俺の弱いところを抉る。カリの部分が前立腺を強く圧迫しながら、均一なリズムでそこを往復する。
「んあっ、あッ……あ、あ、あっ」
全身からぶわっと汗が噴き出したのがわかった。開きっぱなしの口から馬鹿みたいな声が垂れ流しになる。
機械の動きが強すぎて、手でしっかり押さえていないとイイところに当たらなくなるから、必死で握りしめていた。
気持ちよくなることしか考えられない。
自慰なのに、自分の意思でどうにもできない強すぎる刺激に、あっという間に追い詰められていく。勝手に腰が揺れそうになる。
「あ、はっ、ぁ、あーっ……」
脳天まで突き上げるような快楽の波に飲まれて、やがて俺は抗いようがなく達してしまった。ピストンによって押し出されるように、断続的に吐き出された精が、仰向けの腹を汚す。
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