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#6-7
スウェットのパンツと下着をするりと脚から抜かれる。ぽいっとベッドの下に投げ捨てる手つきがいつもの善だった。
下生えを手のひらでざりざり撫でられながら、とっくに勃ちあがったものを指先でつつつ、となぞられる。
「ちゃんと勃ってイイコだねー。これなら童貞卒業できるねえ?」
確実にわざとだろう、バカっぽい口調で言ってから、善は躊躇なくぱくりとそれを咥えた。
先端を舌先で抉られて、カリの段差の上を、窄められた唇が何度も往復する。丹念に舐められてさらに硬くなるそれを、喉までつかって飲み込まれる。めちゃくちゃに気持ちいい。
「う、あっ、あぁ……っ……」
喘ぐ声はもう止められなくなっていて、半開きの唇から垂れ流しだ。口淫くらいしょっちゅうされているのに、役割の違いを意識した途端、なぜか急に落ち着かないような気分になった。
今から善に「初めて」を喰われるというのは、なんだかすごく――取り返しのつかないこと、のような気がしてきた、けれど。もう今更、引けなかった。
「ゴム要らないよね、どうせすぐダメんなるし」
ガチガチに硬くなったものにローションを垂らされて(いつもは冷たいまま使われることも多いが、今日はちゃんと手で温めてからだった)、服を脱ぎ捨てた善が俺の上に跨がる。
真っ白い身体の生々しい輪郭。大きくM字に開脚して、全部を明かりの下に晒していた。半勃ちの前も、陰毛の生え際の小さなタトゥーも、すでに慣らしてあるのだろう後ろも。
「ねえ、俺の中に入るとこ、ちゃんと見ててね」
言いながら善は、腰を浮かせたまま、自分の後孔に指を挿し入れた。ぐちゅぐちゅと粘着質な水音をたて、二本の指で広げるように掻き回される。
指はすぐに抜かれて、掴まれた俺の性器の先端が、そこに宛てがわれる。
「入れるよ、いい?」
訊いておいて俺の返事は待たず。
善が腰を落とし始めると同時に、先端に圧を感じて、少し遅れて快感があった。
ローションでぬるぬるに光っている善のそこに、なんの隔たりもなく俺のがめりこんでいくのが丸見えで、目が離せなくなる。
ひときわ白い肌の真ん中でピンク色に窄まったところ、そこがひくひく収縮しながら俺を受け入れていく。
一番太い部分が呆気なく埋まると、あとはゆっくりずぶずぶと飲み込まれた。やわらかい媚肉に根元まで包まれ、腰骨のあたりに善の尻たぶがぴったりと当たる。
ふー、と善が深く息を漏らした。「全部はいった、ね」甘ったるい声でそう言って、収まり良くするみたいに微かに腰を揺する。
密着した内側の、熱い襞に擦れる感触。口でされるのとも違う、腰から溶けるような快楽を伝えてくる。
「ははっ……わかる? ほら、さわってみなよ」
投げ出されていた俺の右手を善はとって、繋がったところへ導いた。指先が俺自身の根元に触れる。みっちり咥えこまれている、その濡れた境目を辿らされて、自分が善を貫いているのを思い知らされる。
「……ッ、ぁ……」
「千亜貴、いま、俺の身体のなかにいるんだよ。どお? どんな気分?」
くすくすと笑い混じりに善が言うから、腹筋の震えが伝わって、それさえも刺激になる。簡単に喘いでしまいそうになるのを、唇を噛んで堪えた。
どんな気分、って。
いろんな感覚が入り混じっていて表現し難いが、すぐに思い浮かんだ言葉はひとつだった。
自由な左手で善の腰に触れる、縋るように。
「……わるいこと、してる、気分だ……」
どうしようもなく掠れた声で答えると、善は蛇のように目を細めた。その目で見下ろされるから、なんだか本当に、そのまま丸呑みにされてしまいそうで。
はは、と短く善が笑う。
「じゃあ……一緒に楽しもっか、悪いこと」
囁かれる言葉があまりに蠱惑的で、もう、なにも考えられなくなる。
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