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#8-6

改めて見るとベッドがこの上ない惨状で、でも今更シーツを換えても無意味だなと結論づけて、俺たちは再びそこに身を沈めた。 善の甘い匂いがいつもより薄くて、代わりに俺と同じボディソープが香る。向かい合って寝そべり、飽きもせずに舌を絡ませながら、肌を探りあう。 「千亜貴も俺に入れる?」 「……や、いい」 「えーなんで。この前はヨかったでしょ?」 「ヨかったけど……いい、こっちがいい」 ほんとうは、あの薬のことを思い出したのだ。善は抱かれるときだけあれを使うと言っていたから、またあれを持ち出されるような気がして。 「じゃ、上乗ってよ。動かなくてもいいから」 「……ん」 ねだられるまま起き上がり、跨がる前に、まだ少し柔らかい善の性器に触れる。 肌も髪も全体的に色素の淡い善だが、そこだけはアンバランスな色形をしていて、なんというか、見ていてそそるものはあった。根元のあたりを握りつつ、括れに唇を沿わせてみる。 「ん……、舐めてくれんの?」 息を漏らしながら善が俺のうなじを撫でる。好き放題に喉まで突っ込んでおいて何を言う、と思ったが、黙って根元から先端まで舌で辿った。裏筋をちろちろ舐めて、吸いついて、咥える。 舌を使いながら頭を上下させて扱くと、次第にそこは完全に勃ちあがって、もう何回も出したくせにどくどく脈打ちはじめた。ひとのことばっかり絶倫呼ばわりしやがって。 ごく、とつい喉が鳴る。善の腿の上に跨がると、さんざん開かされた脚の付け根がまだ軋むが、まあ上からのしかかられるよりましだ。枕元に転がったボトルからローションを少量とって、善に適当に塗りつける。 「雑だなぁ」 「うるさい」 「千亜貴っぽくてなんかイイ」 「……黙っとけ」 膝立ちになって位置を合わせ、後ろ手に善のを掴んで、ゆっくり腰を降ろしていく。風呂で清めたばかりではあるが、かなり無防備に弛んでいることに変わりはなくて、ずぶずぶと抵抗なく飲みこんでいく。 「あー……やぁらかくてきもちい……」 「……ッ、ふ……」 全部入ってしまうとすぐ、善に腰を掴まれ小さく揺さぶられた。小刻みに擦れる中が刺激に蠢く。 「ぅあっ……ふ、深いって、ぁ、待っ」 「だって奥まで入っちゃうんだもん。ちあきだって欲しがってるよ」 「ひ、あっ、ぁあ……っ」 最奥まで埋め尽くしながら前後に動かされると、突き当たりがじりじり拓かれていくような感覚に、背筋を電流が走る。 激しく動かれているわけじゃないのに。今までどんな奴としたときもそこまで来られたことはない、ってくらい、奥。 「や……やだっ、ぜん……」 入っちゃいけないところまで善が入ってくる感じがして、快感に一匙ほどの恐怖が混じった。 それを敏感に察したのか、下から俺を見つめる善が、俺の腰をがっちり掴んでいた手を緩める。手のひらが腹に当てられて、 「だいじょうぶ、気持ちいいだけだよ」 俺の薄っぺらい腹の上から、入っているものを確かめるように指が動く。前立腺を軽く押されて、強張った身体がびくついた。 温かい手にそっと撫でられて、ほどけるように奥が弛んでいくのが、自分でもわかってしまった。俺の脳には催眠術のように善の声が響いてくる。 「ちあきのおなかの中、はいらせて」 「う、ッあ……あっ……!」 思わず見開いた視界が、白く弾けた。 奥に当てたまま軽く腰を引き寄せられた、だけで、善がそこにきつく嵌まりこんだのがわかった。 痛くも辛くもないが、苦しい。ほんの僅かに残されていた逃げ場を塞がれてしまったみたいだった。唇をひらいてはくはくと浅い呼吸をしながら、善の手に爪を食い込ませる。 「あは……、やっと……ここまで許してくれた」 善の声が上擦って、興奮を俺に伝えた。いつも俺だけ余裕なくよがらされてきたのに、そんな声を聞いてしまったらもう、くらくらして、溶けそうになる。 嵌まったそこは、善のためにつくられたんじゃないかって思うくらい、隙間なくぴったりだった。それがほんの少しだけ引かれ、またすぐ押し込まれて、たったそれだけでついに腰が砕けた。善の上に倒れ込む。 「あン、っあ、ぁ、はあっ、あー……っ」 「ふ……、すご……」 ゆっくりゆっくり動かれるだけで気持ちよすぎて、必死で善にしがみついた。しっかり抱きとめられた身体は善の腕にちゃんと包まれていて、共有する熱が、俺をさらにとろけさせて。 「ちあき……かわいい」 囁かれて耳も溶ける。善と混ざる。ひとつのかたまりになる。そんな錯覚をしながら、もう出すもんもないのに、イった。深く深く。

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