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第一章・5
「准、やっぱりそんな意地悪を言うような男とは、別れてしまえ」
「やだ~!」
丞は、改めて秀斗を呪った。
Ωであるが故、少しばかり複雑なことを考えることは苦手なのだ、准は。
「解った。兄さんが、その謎を解いてやるから」
「ホント?」
兄さん大好き、と飛びついてくる弟の、何と罪なことか!
誰より准を愛している。
しかし、だからこそ、誰より准の幸せを望まなくてはならないのだ、丞は。
「写真から謎解きをしろ、とは」
丞は、改めて写真を眺めた。
水族館のイルカをバックに撮った写真は、どこから見ても幸せそうなカップルのものだ。
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