10 / 172
第一章・10
鏡の中の准は、大人しく髪を切られている。
栗色の髪が、ぱさりぱさりと床に落ちる。
(ああ、こんなにいっぱい切っちゃって。大丈夫なのかな?)
坊主頭にされたらどうしよう、などと不安だったが、スタッフの手で髪をいじられるのは心地よかった。
「いかがですか?」
仕事が終わり、スタッフが合わせ鏡で後ろまで見せてくれた。
「うわぁ……」
別人みたい。
「兄さん、似合う?」
「イケてるよ」
髪だけでなく、心まで軽くなったみたい!
さあ、ランチの後はブティックだぞ、と丞は准の背を押した。
ともだちにシェアしよう!