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第一章・11
洒落たフレンチの店で軽いコースを食べた二人は、これまた洒落たブティックへと足を運んだ。
「すごい。こんなお店、初めて入ったよ」
「准は、ファッションに無頓着だからなぁ」
母親が量販店で買ってくるトレーナーで、デートをする。
それが、これまでの准だ。
「これからは、兄さんが服を買ってやるからな」
そう言って丞が手渡してきたのは、明るいオレンジ色のニットだ。
「こんな派手な色、恥ずかしいよ」
「准は、どんな服でも着こなせるほど可愛いんだ。もっと自信を持て」
「でも……」
「オレンジはいいぞ。着る人も、それを見る人も元気にしてくれるからな」
じゃあ、これを着れば秀斗も元気になるのかな。
そんな単純な理由で、准はオレンジ色のニットを試着した。
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