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第一章・13
買い物を終え、カフェでフラペチーノを飲む准は、ようやく我に返ったように丞を見た。
「兄さん、ごめんなさい。いっぱいお買い物しちゃって」
「いいんだ。思ったより、金額はかからなかったよ」
目の前の准は、新しい髪形に着替えた服を着て、輝くような美少年に変貌していた。
視線が集まってくるのが、解る。
(俺たち、恋人同士に見えるかな)
しかし残念なことに、二人は血のつながった兄弟だ。
永遠に実ることのない恋を胸に秘め、丞は苦いコーヒーを口にした。
「明日、秀斗とデートするように今から電話しろよ」
「え!? 明日デート!?」
でも、と准はもごもごしている。
「写真の謎は、解けてないし……」
「大丈夫。今の格好で、明日秀斗に会えばいい。それが答えだ」
きょとん、とした表情のまま、准は秀斗に電話を入れた。
明日のデートの約束をした。
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