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第一章・15

 上目遣いの准に、丞は何やらくらりと来た。  これは。  この感覚は。 「准、お前、発情抑制剤は飲んだか?」 「あ、忘れてた」 「お前、お薬だけは忘れるな、ってあれだけ……」  目の前に、イメチェンした髪形の弟がいる。  丞は、その髪に触れたくてたまらなくなってきた。 「な、准。髪に触ってもいいか?」 「ん? いいよ」  丞は、震える指先で准の髪を梳いた。  さらりと心地よい手触り。  何とも言えない、良い匂い。 「准……」  丞は堪えられず、弟の唇にキスしていた。

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