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第一章・21
翌日、待ち合わせの場所で、秀斗は落ち着かなかった。
本当に、写真の謎が解けたのかな。
俺の気持ち、解ってもらえたのかな。
そんな不安は、現れた准の姿を見て氷解した。
爽やかに、それでいてふんわりとまとめられた短い髪。
明るいオレンジのニットに、スキニージーンズ。
淡いグレーのコートを羽織って、真っ白いスニーカーを履いている。
「ごめんね、秀斗。待った?」
「ううん、全然。それより……」
俺の気持ち、解ってくれたんだね、と秀斗はこぼれんばかりの笑みを見せた。
だがしかし。
「実は、ちっとも解らないんだ。ただ兄さんが、この格好で行けばいい、って」
少しがっかりしたが、秀斗は自分の気持ちを素直に准に告げた。
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