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第一章・25
物足りなかった、と准は言う。
「昨日、兄さんに抱かれたから。どうしても、比べちゃって……」
秀斗は、あんなに胸に触れてはくれなかった。
秀斗は、あんなに奥まで突いてくれなかった。
そして何より……。
「秀斗に抱かれても、僕、濡れなかったんだ。兄さんが初めて。あんなに濡れたの」
「准……」
解った、と丞は握られた弟の手に指を絡めた。
「お前に、本物のセックスを教えてやるよ」
「兄さん」
二人で、もう一度熱いキスを交わした。
離れられない。
離したくない。
兄弟の愛は、加速してゆく。
唇を離し、准はにっこり笑った。
「ね、兄さん。写真撮ろう」
「部屋でか?」
「部屋デートの写真♡」
寄り添う二人が、一枚の写真になる。
そしてそれは、今後どんどん増えてゆくだろう。
春風の心地よい、晴れた日の出来事だった。
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