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第二章 ストーキングお兄さん

 日に日に暖かくなる、春。  日に日に眩しくなる、日差し。  そして准も、デートを重ねるごとに輝きを増してゆく、と秀斗は感じていた。  あんなに身なりに無頓着だった准が、鮮やかに変貌を遂げた。  それは秀斗にとって嬉しいことのはずだったが、訳を知るごとに複雑な心境に陥っていた。 「お待たせ! ごめんね、秀斗。遅くなっちゃった」 「ううん、そんなに待ってないから」  息を弾ませ、准が駆けて来た。  今日の彼も、素敵だ。  流行のファッションを微妙に着崩し、彼らしさを出している。  首には、薄紫のストール。  紫は、人を選ぶ難しい色だ。  それを難なく着こなしている准に、惚れ直す。  だがしかし。

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