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第二章・7
秀斗は、悔しかった。
悔しいが、とても自分の財布では准にここでランチを振舞うことはできない。
「准、ごめん。もう少し、リーズナブルな店でもいいかな」
「リーズナ?」
「えと、安い店」
「うん、いいよ」
結局二人は丞の予想通り、ハンバーガーの店へ入った。
「秀斗の奴、さすがにフレンチは無理だろう」
ふふふ、とほくそ笑み、丞も続いて店へ入った。
准と背中合わせの席に陣取り、バーガーを頬張った。
(何て不味い店だ)
こんなバーガーしか出せないショップに、よくも准を誘う気になったな、と丞は憤っていた。
しかし、それは秀斗も感じたようで、しきりに准に謝り始めた。
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