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第二章・8
「ごめん。この店、少し前までは美味しかったんだよ。どうしてかなぁ、こんなに不味くなったの」
「ううん、とっても美味しいよ。だって、秀斗と一緒だもん」
この言葉は、秀斗を舞い上がらせ、丞を打ちのめした。
「そ、そう? じゃあ、ポテトも食べてよ」
「僕のオニオンリングと、半分こしようね」
ラブラブな高校生カップルを背にして、バリバリの企業戦士・丞はうなだれた。
もう、何も食べる気もしない。
薄くて酸っぱいコーヒーを我慢してすすりながら、二人の食事が済むのを待っていた。
「秀斗、これからどうするの?」
「うん。ショッピングしようよ」
本当は、アカデミー賞を獲った映画を観に行くつもりだった秀斗だ。
しかし、先ほどのプラネタリウムでの准の様子を考えると、予定は変更だ。
(ぐっすり眠ってたもんなぁ)
映画館でも、同じようなことになるに違いない。
トレイを返却し、二人はバーガーショップを出た。
その後に、丞も続いた。
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