33 / 172

第二章・8

「ごめん。この店、少し前までは美味しかったんだよ。どうしてかなぁ、こんなに不味くなったの」 「ううん、とっても美味しいよ。だって、秀斗と一緒だもん」  この言葉は、秀斗を舞い上がらせ、丞を打ちのめした。 「そ、そう? じゃあ、ポテトも食べてよ」 「僕のオニオンリングと、半分こしようね」  ラブラブな高校生カップルを背にして、バリバリの企業戦士・丞はうなだれた。  もう、何も食べる気もしない。  薄くて酸っぱいコーヒーを我慢してすすりながら、二人の食事が済むのを待っていた。 「秀斗、これからどうするの?」 「うん。ショッピングしようよ」  本当は、アカデミー賞を獲った映画を観に行くつもりだった秀斗だ。  しかし、先ほどのプラネタリウムでの准の様子を考えると、予定は変更だ。 (ぐっすり眠ってたもんなぁ)  映画館でも、同じようなことになるに違いない。  トレイを返却し、二人はバーガーショップを出た。  その後に、丞も続いた。

ともだちにシェアしよう!