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第二章・11
しっかりバレている。
今や弟のストーカーと化している兄・丞にバレている。
「こッ、この(バカ)秀斗! 俺の(可愛い)准に、一体何を!?」
暴くわけにはいかない。
そうすれば、秀斗と一緒の准も恥をかく。
仕方がないので、丞は上品な作り声を出した。
「お客様、いかがでしょうか?」
試着室の中の二人は、慌てた。
「あ、はい! もう少しです!」
ひとまず、そう返事をした秀斗は離れると、いたずらっぽく准にもう一度短いキスをした。
狭い小部屋から出てみると、准の瞳はすっかり潤んでしまっている。
「どうだった? 怒ってない?」
「……すっごく感じた♡」
試着室の裏で、丞は慟哭していた。
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