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第三章・2
お節介やきの係長が、妙に甲高い声で丞をたしなめた。
「梅宮くん、せっかく部長が誘ってくださってるんだよ!?」
だが、丞は考えを曲げなかった。
「感謝はしています。しかし、先約が優先です」
約束は、破りたくはありませんから。
そんな丞に、部長は笑顔を見せた。
「いいね、その信念。仕事でも、活かしてくれ」
「ありがとうございます」
そして部長は、さらに言葉を継いだ。
「で、いつなら空いてるかな?」
私としては、ぜひ君とコースを周りたくなったのだが。
その言葉に、周囲は確信を持った。
部長に、気に入られた。
これで梅宮は、出世間違いなしだ、と。
そんなことを知ってか知らずか、丞はさっさと定時帰宅の準備をしている。
早く帰って、准に会いたいのだ。
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