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第四章 降って沸いたお見合い

 久々に早く帰宅した丞は、これまた久々に家族そろって夕食を摂った。  食器の片づけは、准の役目だ。  弟がカチャカチャ音を立てている姿を見ていると、唐突に父親が話しかけて来た。 「丞、お見合いしないか?」  丞は、手にしていた湯呑を取り落とすところだった。 「お見合い?」  おうむ返しの丞に、一枚の写真が差し出された。 「父さんの取引先の方に、ぜひにと言われてなぁ」  写真には、素敵な笑顔の美青年が写っている。 「Ωだが、優秀な人だ。もちろん子どもも産める体だ」  悪い話じゃないんだが、と父は乗り気の顔つきだ。 「でも俺、まだ25歳だし。結婚はまだ……」  それには、母が身を乗り出した。 「母さんは25歳で丞を生んだのよ? 早くはないわよ」  父の取引相手となると、無碍に断るわけにもいかない。  丞は、一度会って食事をする約束を了解した。  一連の話しが終わるまで、食器の立てる音が止んでいた。  准が、聞き耳を立てていたのだ。

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