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第四章・3
「どうしたの? 何だか元気ないけど」
「秀斗、おはよう」
声にも、覇気がない。
電車に揺られながら、秀斗はしきりに准を心配した。
「体調、悪いの? 一度電車を降りて、休もうか」
「うるさいなぁ。少し黙っててよ」
秀斗は、怯んだ。
こんな准の態度は、まず記憶にない。
秀斗のリアクションに気づいたのか、准は謝って来た。
「ごめんね。ちょっと、悩みがあって……」
「差し支えなければ、話してよ。相談に乗るから」
「う~ん」
「話せば、スッキリして名案が浮かぶかもよ?」
うん、と准は頷いた。
「実は今度の日曜日、兄さんがお見合いするんだ」
「え?」
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