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第四章・5
学校フケるなんて、初めてだな。
少し罪悪感を感じながら、秀斗はカフェモカを飲んだ。
向かいの席には、フラペチーノを舐める准が掛けている。
甘くて冷たい飲み物は、准の頭の熱を少し冷ましてくれたようだ。
彼はようやく、ぽつりぽつりと丞のお見合いの話を聞かせてきれた。
「父さんの取引相手の息子さんなんだって。僕と同じ、Ω」
「それじゃ、断りにくいよね」
「そうなんだ! 兄さん、可哀想!」
二人は食事をする約束をした、と准は語る。
でも、と今度は秀斗から話した。
「一度会って、食事をするだけなんだろう? すぐに婚約、ってわけじゃ」
「そんなこと、解んないよ! 写真で見たけど、すごく綺麗な人だったし」
うん~、と秀斗はストローを咥えて沈黙した。
そして、考えていた。
准には悪いが、この縁談まとまって欲しい。
(そうすれば、変に准とお兄さんの関係を勘繰らないで済むし)
そんなことを考えていると、准がいきなり立ち上がった。
「ホテル行こう、秀斗」
「え!?」
僕だって、兄さんに負けないくらい大人なんだから!
だから、学校さぼって秀斗とホテルにだって行っちゃうんだから!
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