74 / 172

第五章・6

「今でも、お兄さんのこと好きなんでしょ? 愛してるんでしょう?」  さらに准は、問い詰めて来る。  茜は怯みながらも、素直になる道を選んだ。 「愛しているよ」 「ひどいよ」 「なぜ?」  他に好きな人がいるのに、僕の兄さんと結婚しようなんて。 「僕の兄さんが、可哀想だよ!」 「准くん……」  ああ、この少年は、心から兄を愛している。  だけどね、准くん。 「准くんは、どうなの? お兄さんを愛している。でも、他にも恋人がいるでしょう?」  准より長く生きたぶん、茜は恋に敏感だった。  お見合いを壊そうとして准が引き連れて来た、協力者。  秀斗は准を愛している、と、察知していた。

ともだちにシェアしよう!