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第五章・12
辛い。
そう、丞は感じていた。
元はと言えば、秀斗のためのイメチェンを手伝っただけなのだ。
それが、身体を重ね、愛し合い。
いや、少年の頃から准のことを愛していた。
発端は、俺なのだ。
「……すまない」
「何で兄さんが、謝るの」
「全部、俺のせいなんだ。准、すまない」
兄さんは、悪くないのに。
そう言って、准は丞の胸に顔を埋めた。
震えるその肩を、丞は優しく撫でさすった。
そうしてやる他、何もできなかった。
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