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第六章・10
「それはそうと、僕、今日学校休むから」
『どうして!? どこか悪いの!?』
心配性だなぁ、と准は笑った。
「最近、発情抑制剤が効かないくらいヒートしちゃうんだ、僕。だから、病院に行ってくる」
『一緒に行こうか?』
「母さんがついて来てくれるから、平気」
その後、二言三言会話を交わした後、電話は終わった。
秀斗は、電話が済んだ後も、スマホを見つめたままだった。
『最近、発情抑制剤が効かないくらいヒートしちゃうんだ、僕』
この、准の言葉を思い返していた。
「俺が、しっかりしなきゃ」
准の兄・丞に、弟を頼むと任されたばかりなのだ。
Ωのフェロモンには、抗いがたい誘淫作用がある。
准が、見境なしにセックスに溺れることのないよう、守ってあげなくてはならない。
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