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第八章 赤ちゃん

「あら、准。朝ごはん食べないの?」 「吐き気がして、食べられないんだよ」  最近よく交わされる、母子の会話だ。 「サラダだけでもいいから、食べなさい」 「いらない、って言ってるんだよ、もう!」  そして、のろのろと登校する。  見るからにだるそうな、その姿。  母は、心配していた。 「ね、丞。最近の准、おかしいのよ」 「そうだね」  イラついていると思えば、涙ぐむ。  吐き気を訴えては、食事を摂らない。  母を心配させてはいけないと思い、丞は通り一遍の返事をしておいた。 「反抗期じゃないかな」 「そうかしら」  話しはそこまでで、丞も出勤の仕度を始めた。  しかし、准のことは心配だ。  昼食時、丞は電話をかけていた。

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