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第八章・2
「もしもし、佐々木です」
「秀斗、今いいかい?」
大丈夫です、という秀斗に、丞は准の様子を尋ねた。
しかし、返事は朝と似たようなものだった。
「はしゃいでると思ったら、突然不機嫌になったり。感情の起伏が激しいんです」
こうも、続いた。
「さっきまで一緒に学食にいたんですけど、ほとんど食べずに残してしまって」
「う~ん」
「お腹が張って、吐き気がして苦しい、って言ってました」
病院に連れて行った方が、いいのかな。
丞は、そう判断した。
Ωのフェロモンが、どんどん濃厚になってゆく准。
それを抑えるために、少し強い薬を処方されている。
「副作用かもしれない」
秀斗との電話を終えた丞は、母に連絡した。
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