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第八章・4

「はい、准。買ってきたよ」 「ありがとう、秀斗」  放課後、准は秀斗と一緒にバーガーショップに座っていた。  手作りを売りにする、高価な店ではない。  大手フランチャイズの安いバーガーを、准はにこにこと頬張った。 「あ~、美味しい」 「そうかなぁ。ここのバーガー、まずいって評判だけど?」 「何でかな。この機械的な味がいい、っていうか」  最近、食欲がなくて、と准は瞼を伏せた。 「だけど、このバーガーだけは入るんだ。なんでだろ?」 「食べたら、すぐに帰るよ。病院に行くんだろ?」 「うん……。僕、どこか悪いのかなぁ」  行けば解るよ、と秀斗は微笑んだ。 「なんとも無ければ、食欲も戻って来るんじゃないのかな」  だといいな、と准は残りのバーガーを急いで食べた。

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