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第八章・6
准が、妊娠した!?
父は、真っ青になった。
「それはその、誰かとそういうことをやったのか!?」
「うん……」
「相手は誰だ!」
「大きな声、出さないでよ」
丞は冷静さを装ってはいたが、この場にいる誰よりも動揺していた。
まさか。
まさか、俺の子では!?
「もしかして、佐々木くん? こないだ、お花持ってきてくれた」
「かもしれない」
佐々木外科の息子か、と父は今から怒鳴り込みに行きそうな気配だ。
彼をなだめるため、丞はその体を押さえた。
そして、言った。
「父さん、秀斗の子と決まったわけじゃない」
「どういう意味だ!」
「……俺の子かも、しれないんだ」
「!?」
一瞬の間の後、丞は父に頬をゲンコツで殴られた。
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