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第八章・7
「兄が弟を孕ませるなんて、何てことをしてくれたんだ!」
「お父さん、やめて!」
今度は、母が父を押さえる。
「准、明日朝から病院へ行くぞ!」
「またぁ? 何で?」
「堕ろすんだ、すぐに!」
ふてくされたような態度だった准が、急にお腹を押さえた。
「ヤだ! 僕の赤ちゃん、殺さないで!」
これには、両親ともに愕然とした。
「産むつもりなの、准!?」
「やめなさい、許さんぞ!」
准は涙目になりながら、訴えた。
「秀斗と兄さんの赤ちゃんだもん! 僕、二人とも愛してるんだもん!」
後は、二階の自分の部屋に駆け上がり、籠ってしまった。
父は後を追い、リビングには母と丞が残された。
「丞……、ホントなの?」
「はい。申し訳ありません」
母は大きく息をつくと、父の後を追って二階へ上がった。
残された丞も、大きく息を吐いた。
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