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第八章・11

 秀斗の眼は、街灯の暗い明かりの下でも解る位に丸く見開かれた。 「俺の、子ですか?」 「解らない。秀斗か俺の子、どちらかだ」  降って湧いた重い現実に、秀斗は混乱した。  准が、妊娠。  父親は、解らない。  俺は。  俺は、どうしたらいいんだ?  そんな秀斗の自問自答に、丞が石を投げ込んだ。 「安心しろ。どちらにせよ、責任は俺が取る」 「それって……」 「俺が赤ん坊の父親になる」  断定的な丞の言葉に、秀斗にはようやく男の意地がこみ上げて来た。 「俺の子かもしれないんでしょう? だったら、俺にも親権はあります!」  にやりと笑い、丞は煙草に火をつけた。 「思い付きで、ものを言わない方がいい」 「俺にだって、父親になる覚悟くらいあります!」

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