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第九章 消産
赤ちゃんは、消えた。
准のお腹の中から、いなくなってしまった。
早期流産の原因で最も多いのは、赤ちゃん自体の染色体等の異常だ。
受精の瞬間に、『流産の運命』が決まっていたようなものだった。
そして。
「僕のせいだよね。僕が、ちゃんとご飯食べてなかったからだよね!」
「違うよ、准。悪いのは、兄さんなんだ」
泣き叫ぶ准を抱きしめ、丞は兄弟間の愛が抱える問題を、深く考えさせられていた。
染色体異常となると、血縁同士の交配による可能性が濃厚だ。
(赤ちゃんは、やっぱり俺の子だったんだ)
今更ながら、避妊を怠った自分を責めた。
准をこんなにも傷つけることとなった事態を、呪った。
だがその一方で、どれほど深く准を愛していたかが解った。
彼と結ばれるために、勘当と言う道まで選んだのだ。
自分の本当の気持ちに気づかされるには、充分だった。
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