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第九章・2

 遅くに帰った三人の様子を見て、父は何が起きたのかを察した。 「准、辛かったな。辛かったなぁ……」  涙の止まらない准を柔らかく抱き、その背中をさする父。  母も寄り添い、泣いている。  丞は、いったん准を二人に預けると、彼の部屋へ行き寝支度を整えた。  寝苦しくないようエアコンを入れ、ベッドメイキングをした。  それらが終わる頃、両親に支えられて准が階段を上って来た。 「准、今夜はもう、寝なさい」  丞の言葉に、准は素直にうなずいた。 「兄さん、一緒に寝てくれる?」 「ああ、いいとも」  両親も、止めなかった。  弟を兄に預けると、そっと階段を下りて行った。

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