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第九章・3
だらんとして体に力の入らない准に、丞は優しくパジャマを着せてやった。
その細い体を支え、ベッドに横たえた。
そして自分も、その傍に寝た。
「兄さん」
「何だ?」
「スーツのまま、寝るの?」
「着替えに離れたら、准が心配だからな。このままでいいよ」
ありがとう、と准は丞のシャツに胸を押し付けて来た。
「ごめんなさい、兄さん。赤ちゃん殺しちゃって、ごめんなさい」
「准のせいじゃない。それに、赤ちゃんはまた授かるよ」
「うん。……うん」
泣きながら、准は眠りに落ちて行った。
柔らかな髪を撫でながら、丞もまた涙を一粒零していた。
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