130 / 172
第九章・4
心身ともにショックを受けた准は、一週間学校を休んだ。
その間、丞も会社を休み、ずっと彼の傍に寄り添っていた。
着替えを手伝い、食事を口に運び、シャワーを浴びさせた。
献身的な、介護だった。
「兄さん、今日は僕、学校へ行くよ」
「大丈夫なのか?」
「うん。兄さんも、いつまでも会社休んでちゃクビになるよね」
俺の方は有給がたっぷり溜まってるから平気だ、という丞に、准は首を振った。
「このまま兄さんに甘えてちゃ、僕いけないと思うんだ。死んだ赤ちゃんに、申し訳ないと思うんだ」
「准」
この若さで、生と死の厳しさ、悲しさを知ってしまったのか。
しかし、それを越えて歩もうとする准に、丞は感動していた。
「気分が悪くなったら、すぐに連絡しろよ? 迎えに行くから」
「秀斗がいるから、大丈夫」
秀斗か。
彼もまた、丞を悩ませる要因の一つだった。
ともだちにシェアしよう!