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第九章・5
准が流産したことは、メールで知らせてある。
彼は、准にどんな態度をとるだろうか。
准を傷つけるような言動だけは、避けて欲しいものだ。
何と言っても、まだ18歳の少年なのだ。
男気のあるやつだとは思うが、限度がある。
そう、丞が思いを巡らせていると、玄関のチャイムが鳴った。
「おはようございます」
秀斗が、准を迎えに来たのだ。
「秀斗が、なぜここへ?」
「僕が昨日、メールで知らせたんだ。明日から、学校へ行くよ、って」
まさか、迎えに来てくれるなんて思わなかった、と准は微笑んだ。
その柔らかな笑みに、丞の胸は痛んだ。
以前なら、はしゃいで喜ぶところだろうに。
「と、いうわけで。行ってきます」
「無茶はするなよ?」
二人が角を曲がって姿を消すまで、丞は表に出て見送っていた。
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