132 / 172
第九章・6
秀斗の表情は、固かった。
何て声を掛けようか。
「体の具合は、どう?」
「秀斗、それさっきも言ったよ」
「そ、そうだっけ」
二人の間の空気が、妙だ。
以前は、こんな感じじゃなかった。
もっと他愛ない話を、自然にしてたはずだ。
振るわない秀斗を察してか、今度は准から話しかけて来た。
「僕が休んでる間、何か変わったことあった?」
「えっと。英語の相田先生が、産休に入ったよ」
「そう……」
「え、あ! ご、ごめん!」
流産したばかりの准に、なんてデリカシーのない言葉を!
うろたえる秀斗に、准は笑顔だ。
「大丈夫だよ。それより秀斗、お願いがあるんだけど」
「何なに?」
「これからもずっと、仲よくしてくれる?」
ともだちにシェアしよう!