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第九章・7

「え?」  何か違う。  ズレがある。  なぜ『付き合ってくれる?』じゃなくって、『仲良くしてくれる?』なんだ。  しかし秀斗は、それを問い詰めることができなかった。 「当たり前だろ」  そんな、通り一遍の返事しかできなかった。  それでも准は、嬉しそうだ。 「よかった」  いい笑顔だ。 (俺の、考え過ぎだ)  そう思って、蓋をした。  奇妙な二人の間のズレを、見て見ぬふりをした。  それでも学食で一緒に昼食を摂り、放課後二人で電車に乗る頃には、日常を取り戻していた。 「准、俺の家に寄って行かない?」  そんな余裕が、秀斗に生まれていた。  

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